映画『もうろうをいきる』公式サイト

目が見えず、耳も聞こえない。ドキュメンタリー映画『もうろうをいきる』全国順次公開中

監督の言葉

監督の言葉

光と音のない世界。目が見えて、耳も聞こえる「健常」の私は、盲ろうのみなさんの世界を想像することから、この映画の撮影をはじめた。
他の身体障害に比べ、生活サポートや教育の面で課題が多いといわれる「盲ろう」という重複障害。全国各地に暮らす盲ろう者の日常や思いを撮影することを通して、人がどう生きていくか、という答えのない問いを考え続けた。
慌ただしく過ぎ去っていく時間。全てにおいて効率化が優先され、物事が進む現代社会。2016年7月26日未明、相模原市の津久井やまゆり園で起きた殺傷事件。容疑者の男性は「重度の障害者は生きていても仕方がない」と語ったという。
生きる喜びや悲しみ、人生の豊かさという命題を、私たちがいま一度考えるべき時がきていると、強く感じている。願わくば、この映画を通して、新しい世界を共に発見することができたならば、これほど嬉しい事はない。

西原孝至(にしはら・たかし)
1983年、富山県生まれ。早稲田大学卒業。映画美学校ドキュメンタリー高等科修了。
14年の『Starting Over』は東京国際映画祭をはじめ、国内外10箇所以上の映画祭に正式招待され高い評価を得る。最新作『わたしの自由について〜SEALDs 2015〜』は北米最大の国際ドキュメンタリー映画祭 Hot Docsに正式出品。
現在、主にTVドキュメンタリー番組のディレクターとして活動中。